稀勢の里関引退。時代は動いているし、上と下の差なんて目に見えないものばかり。

稀勢の里関引退。稀勢の里関は横綱だったが、もしかすると琴奨菊がこの立場だったかもしれない。

まずは稀勢の里関お疲れさまでした。横綱になった瞬間はうれしいがそのあとは、しんどいことしかない身分だったと思います。

菊関が3年前に日本出身力士10年ぶりに優勝し→豪栄道関→稀勢の里関→御嶽海関→貴景勝関と日本人優勝力士が増えだしました。

その中で稀勢の里関が、その時の時代背景とそのチャンスを優勝でもぎ取った横綱です。

当時は稀勢の里関は、横綱に最も近い男と言われながら、何回も準優勝で甘んじ、勝負所で負けを喫することが多々ありました。

もともと性格的にすべてを聞いて、素直に努力する方のように見えます。

何度か会ったこともあります。一番の思い出は浜松巡業で12時前に、ホテルで会いました。酔っていて陽気で、向こうから僕にハイタッチしてきました。

その時僕は、全く見ず知らずの時です。普段の普通の性格は陽気で気のいい兄ちゃんだと思います。

これは菊関も同じだし、大半の力士はそうではないかと思います。周りが力士を神格化し、品行方正で清廉潔白、土俵の鬼を求めたがります。

横綱は本当に大変だったと思います。しかし横綱に力士はみんななりたいと思うし、一場所でもなれたら横綱は横綱です。

それを19年ぶりに日本人でなったのだからすごい人です。

最後の一番負けた瞬間にうなずいた顔、負け残りで覚悟を決めた顔がものすごく印象的です。

 

ちなみに菊関が3年前の大阪場所で、綱取りを目指していました。8日目だったか9日目だったか忘れましたが、稀勢の里関が変化で菊関に勝ちました。

変化して勝った瞬間、稀勢の里関は手を何回か振って納得してないようなそぶりで勝ちました。

稀勢の里関は菊関に大関を先に越され、優勝も先に越されていました。たぶん嫉妬心があったのかなと思います。

それで本来はしたくないはずがしてしまった。あれ以来僕稀勢の里関の変化見たことないですから。嫉妬心と申し訳ない心が二つ見えました。

もしあの相撲真っ向勝負で菊関が勝っていたら、その後の取り組みで変化がないのを前提とすると優勝して横綱になっていたかもしれない。

しかし変化がないのが前提で、仮になってもそのあとはいろんな取り口を研究されるから、稀勢の里関以上に短命になっていると思います。

運命はちょっとしたことでその後の展開が変わると思います。

 

ちなみに日馬富士関と稀勢の里関の一戦で、日馬富士関の猛烈な突進の前に致命的な大けがをしました。

あの突進を受けきれるのは稀勢の里関ぐらいで、ほかの力士はいなしたり、衝撃を弱める工夫をします。それを真っ向から受けて怪我をした。

日馬富士関の細くて針を超高速で貫くような立ち合いと、稀勢の里関のまじめな真っ向から受ける性格があの結果を生んだと思います。

 

相撲もやはりレベルが上がってきていて、フィジカル一辺倒、技一辺倒では勝てない。

今の相撲のレベルは本当に高いです。上位は強烈なレベルだと思います。そのレベルですが、お代の通り、フィジカル一辺倒、技一辺倒では勝てません。

僕が見ている菊関ですが、フィジカルは強いし運動神経は高いです。しかし今は大関からは陥落。しかし陥落しても幕内上位に戻りつつあるのはさすがです。

しかし幕内上位。それに対してなんだかんだ安定している、モンゴル横綱の白鵬関、鶴竜関は安定している。その差は何なのか。

大関陣は今場所不安定を露呈している。その差は何なのか。

横綱大関でも、楽に勝てる展開がほとんどない。実力やフィジカルは、幕内上位と横綱大関とで本当に拮抗していると思います。

その差は、重心点が二つ、もしくは三つ上位はあるのと、もう一つは自分が強くなるすべでなく、人を弱らすすべがある事。これかなと思います。

まずは重心です。

この様に上と真ん中と下に重心があります。この点もその付近と思ってください。人によって違います。

日本人は下の丹田ばかり意識している人が多い。

下の丹田のメリットは

  1. その場に居座りやすい
  2. 気持ち的にどしっとする
  3. 引きこむことが有利になる。
  4. 廻しをつかんで何かするときはこちらが有利

です。要は安定します。

 

そして中丹田のメリットは

  1. その場から離れやすい
  2. 攻撃的なる
  3. 突き放すことが有利になる。
  4. 差して手を上に向けると、中丹田が有利。

下丹田の逆ですね。そして頭の丹田とが、三つ方向が決まればすごい力になります。

昔の指導だと相撲は下丹田ばかり意識させ、上を抜かし気味です。ちなみに稀勢の里は重心は高め。攻撃の方が得意なはずです。

だけど相撲を見ていると受けている。横綱になってからは特に受けています。

 

ちなみにモンゴル勢横綱、白鵬関・鶴竜関。

基本的に受けません。白鵬関は昔は体の柔らかさで吸収して変換していた。

今は硬くなったから立ち合い微妙なずらしと、勝てるポイントまで我慢すること、相手の力を利用すること、相手の気を紛らわすすべを知っていることです。

それも稽古ではたぶん、三段目相手に、その紛らわし方と、力の利用を確かめ、上位とは弱くさせうるすべを出さないでの稽古をしていると思います。

それで、いつでも新技を出して、相手をほんろうさせ戦いにくくしている。鶴竜関はそれを少し色を薄めた感じです。

 

今波に乗っている貴景勝関と御嶽海関。これはタイプが正反対です。

貴景勝関は、廻しは絶対取らない。取ったら負けるから取らないのです。とにかく突き放す。これが徹底しているので、やることが単純化します。

その突きの中でいろんなバリエーションが多分あると思う。

 

御嶽海関はマイペースで知られています。しかしものすごく研究家。そして体つきが本当に大きくなっています。

御嶽海関は研究で、とにかく相手の弱点を見つけて、それを殺すことを徹底しています。自分の力を出すより相手の力を出させないことが主眼です。

それでいて体つきがデカくなっている。たぶん何らかのトレーニングでフィジカルをあげています。

そして御嶽海関も重心が高めなので、ハズ押し差しが得意。持つ場所に応じて重心移動しています。

 

今の安定している上位は、自分の重心点が2ポイントもしくは3ポイントあり、マルチ化している。ポジションに応じてそのポイントの割合配合を変えている。

もう一つは、自分が強くなることももちろんだが、相手を弱らせるすべを知っているか?ということになると思います。

この思想は基本対戦競技でしか意味がないことですが、相撲はまさしく1対1の勝負。これからはこちらもかなり重点的に覚えないといけない時代になっています。

 

それと白鵬関が言っていた言葉です。大阪場所で変化して優勝しそのあとして涙したがこの言葉です。

「横綱は勝たないと死にます」

今の相撲レベルは受けて勝つほど甘くないのです。文句を言われても勝てば引退にならない。それをよくわかっているなと思います。

 

勝負の世界は勝てば人も金も寄ってきますが、負ければ逃げます。厳しい世界ですよね。そんな厳しい世界にいて頂点に立つのは本当にすごいことです。

稀勢の里関、お疲れさまでした。いい部屋作っていい弟子育ててください!!