久米詩の快進撃が止まらない。客観的にいくつも理由がある。まずは受験する4年前を振り返ってみよう。
僕は、久米詩との出会いは、詩ちゃんが高校3年生の夏休みからなる。
8月、詩の父親である、競輪養成所教師で元S級レーサー、久米 康徳選手が僕に電話をかけてきた。僕はそのころは普通に競輪場で業者として、近畿の競輪場に毎回足を運んでいる。
康徳さんとの接点はほぼなかったが、「娘の面倒を見てほしい」と電話をくれた。康徳さんは直感的にここがいいだろうと電話したらしい。
そこでまずはパワーマックスの最大値測定、垂直飛び、背筋力を測った。なんとかなりそうな数字。もう受験まで2か月。
その前はテニスをやっていた。高校3年生までテニスをしていて、県大会ベスト16レベル。
しかしいきなりやらせたウエイトトレーニングはとんでもない事になっていく。
僕の記憶では、トップサイドデッドリフト210。これを強烈に覚えている。
基礎トレーニングは、タイヤ押し、タイヤ引き、ケトルベル、ロープワーク、どんどんやらせた。
途中経過が書いていた。ケトルベルスナッチ16kg5分87回。これはどのくらいのレベルかというと、男子競輪選手がいきなりやってまずできないレベル。
今は16kg5分114回。これ男子でもなかなかできないレベル。
とにかくウエイト系の強さが際立っていた。やればやるほど強くなっていく。適正一次試験が終わって、一旦パワー系の種目から、1か月ほど古武術的な錬成を加えた。

古武術は、世間的にはよく見るバーンと体が吹っ飛んだり、相手が飛ぶような武術の技。
しかしこれは結構科学で、人間が動力や力の加え方をただ知らないだけで、それを知るとウエイト使用重量が強い人が、力が強いわけでもなく、ワット数が高いから、競輪が強いという事が関係ないことも体でわかる。
力の配分は、どこからどこに伝わっているか、その力が伝わる順番は何が正しいか、力の漏れはどのように自分が損をするのか、力のかけすぎによる自分の体力の消耗と、オーバートルクで違う方向にパワーが外れるといかに損をするのかがわかる。
これはいってみて2か月ほど意味が分かりながら錬成を行うとよくわかる。
少し前の世代はパワーをいかに強くするかが大事だったが、今はどの方向から、どの順番で、力の漏れなく、なおかつ自然の重力や感性を味方にしながら動作を行うのが大事になった。
このころの錬成は今の詩ちゃんの考え方の根底の基礎ができたと思う。又それを受け入れた。それが強さになっていっている。
逆にテニスがレベル的に大成功は収めていない。フィジカル勝負の部分は勝つが、動作や反応を試されると、力が強い分力んでしまい動作が遅れた、力が籠った感じになり、そこそこのレベルで終了した。
そのやり方がわからなかったし、わかる手段もなかったというのが正しい表現だと思う。
何しか詩ちゃんにはほとんど怒らなかった。怒る必要がなく、考えて物事を行う習性が最初からあった。細かい技術指導がすぐに自分の体に溶け込んだ。
そして練習は言われることはもちろんやるし、我がジムで練習するとき、必ず自己ベストが出やすい種目を一番目にもっていった。そこが成長するポイント。
8月から体を動かして見事一発合格。親の環境整備と、我がジムの方針と、詩ちゃんの考える行動力の賜物である。
ただ自転車には最初苦労していた。競輪養成所在校成績は20人中14位だった
学校に入校してからは、我がジムを卒業し、師匠について自転車のローラーから徹底的に仕込まれた。
学校に入校してからは、学校は閉ざされた空間で学校のカリキュラムによって進められる。
ウエイトトレーニング系は学校でかなり上位か一番一回成績を収めるが、自転車がもう一つ。
理由は、「踏んでいた。漕いでいた」からになる。自転車が流れていないし、流れる感覚がつかみようがなかった。
自転車は基本パワーがある選手が有利であるが、自転車の回転と前に進む方向が「合致した」動きが必要になってくる。
詩ちゃん自身は日本人によくある後ろ重心、踵から着くタイプで、引っ張り込むことはできるが体重を前に載せて、押し転がる動きができなかった。
それを僕は最初から気づいていた。しかし閉ざされた環境では、新しいやり方、自分に合うかどうかの実験はできない。
そして自分の商品が開発が進むにつれて、詩ちゃんの成績も伸びだす。毎回僕がアイエムできたと思って詩ちゃんに渡し、それを確かめる。大体半信半疑だが、すぐに効果を感じる。
商品が開発出来て、すぐに詩ちゃんが取り入れる。そうする事できなかったポジションや力の方向性がことごとくマッチしてきた。
マッチするにつれて、さらに詩ちゃん自身がアイテムの力をもらいながら、さらにその方向で強化する感覚とやり方を自分で編み出してきた。
我がグットコンディションの商品と、詩ちゃんの成績はアイテムの大きな指標となった。実際転がり感が相当出ている。
詩ちゃんの勝負勘。これは全く想像できないし、親の遺伝子がすごいとしか言いようがない。
同期の中で一番早く優勝し、フレッシュクイーンも取り、ガールズコレクションに乗ることも一番乗り。
完全に出世頭である。すべての環境と、詩ちゃん自身が正面から取り組む姿勢以外何もない。
親の康徳教官と話もよくするが、親でも「えっ」と思った戦法を詩ちゃん自身が、ほぼ嗅覚や感覚でレースを動かす。
最初詩ちゃんは、前受一辺倒だった。そこで頭打ちが52-3点のところで打つ。
そこから好意からの追い上げも覚えてきた。しかし、まくりの決まり手がことごとくない。
漕ぐ力はあるが、回転を乗せる技術とポジションがまだわからなかった。
僕はまくりが出るようになれば、一気に打開すると何度も言ってきた。まくりはパワーを伝える工程が、逃げと全く違うんである。
それをアドバンスのサポーターとオイルあたりからポジション形成ができだした。約2か月弱でまくりがポンポン決まりだす。
その次は全く僕も予想にしていなかった、戦法の連発。一回切ったり、まくり主体、流れに乗って追い込みもすれば、まさかの逃げを決める。
将棋の藤井二冠が、ことごとく新しい手で相手を詰める感覚で、えっと思うレースを連発し勝っていく。
これ僕は全くわからないし、先を見る先見性が際立って凄い。何処で勉強しているのか、はたまた才能なのかがわからない。
親の遺伝子としか言いようがないし、その親もなんでこの戦法をとって何で勝つのかがわからないという時もあった。
一つ言えるのは、努力も根性もあるが、「考える力」「実験して試す」「試した結果を感覚で察知する」能力がすこぶる高い。
実際そこだと思う。結構科学です。動きが理にかなっています。
なんとかして静岡地元グランプリには乗らないといけない。徹底してサポートします!!